鍵盤(KEYBOARD)

 
始めから難しい作業にはいると失敗の恐れもあり、少しチェンバロというものに慣れ作業に慣れるため、鍵盤の組み立てから始める事にしました。またチェンバロは湿度に非常に敏感で、工程によっては時期を選ぶ必要があり、マニュアルにもその注意がくどくどと書かれています。年中湿度の変化が少ないヨーロッパに比べてアメリカ東部(このキットの製作地)とか日本では季節によって温度と共に湿度が大きく変化するのでかなり神経質になる必要があります。その点、鍵盤は湿度の変化にあまり左右されないので始めてての作業には適しています。
 
 これは独立した仕事であり、枠を正しく組み合わせて56本のキーを枠に正しくはめて行く作業で作業そのものはそれほど難しくありませんが、キーの間隔とかキーの高さを揃えるため、最終的には何度も微調整が必要でした。またキットの状態は木を所定の大きさに切ったままなので、紙やすりを何度も掛けて表面を滑らかにする必要がありました。一番難しかったのは一本一本のキーを支える支点の孔開け(2〜3ミリの小さな孔で、しかも孔の上は長方形で下はは円形になっている)で,きついとキーが滑らかに上下しないし、広すぎるとがたがたになってしまう事になり、先のとがった特殊なやすりで慎重に削る必要がありました。

黒鍵と白鍵
ピアノとは逆になっている、赤い部分はフェルトを重ねて貼ってあり、その上で弦を弾くジャックが上下する時の摩擦を吸収する
鍵盤の全体像